神社参拝の作法と心がまえ 鳥居・手水・二拝二拍手一拝の意味と「なぜそうするのか」

この記事は約10分で読めます。

この記事で分かること
神社参拝の基本の流れと、それぞれの作法に込められた意味をお話しします。

鳥居でのおじぎ、参道の歩き方、手水、お賽銭、二拝二拍手一拝。
「なぜそうするのか」が分かると、参拝はぐっと気持ちのいいものになります。
作法の歴史や神社ごとの例外、よくある迷いについても紹介します。

神社参拝を一言でいうと

身と心を清めて、神様にごあいさつをすることです。

作法は、そのための「型」です。

神社本庁は参拝方法について、心身を清めることが大切だと説明しています(神社本庁 公式サイト「参拝方法」)。
形を整えるのは、心を整えるため。
この記事では、そんな視点で作法を一つずつ見ていきます。

参拝の基本の流れ

1. 鳥居の前で一礼する

鳥居は、神様のいらっしゃる場所と、私たちの暮らす場所との境目です。

鳥居や神門の前でいったん立ち止まり、軽く一礼してからくぐる作法が広く紹介されています。
お家におじゃまするときに「おじゃまします」と言うのと、同じような気持ちです。

2. 参道は真ん中を避けて歩く(諸説あり)

多くの神社では、参道の中央を「正中(せいちゅう)」と呼び、神様の通り道とされています(nippon.com「神社に行こう!神社空間を読み解く」)。
そのため、左右どちらかに一歩よけて歩くのが礼儀とされています。

神社の公式な決まりではなく、神社によって考え方が異なることもあるため、諸説あるうちの一つです。
正中を横切るときは、軽く頭を下げて通るとていねいだという説もあります。

古い神社では、参道の両側に木々が並んでいます。
これは、神様がお鎮まりになる「鎮守の杜(もり)」を通っていくためです。
杜の木や枝、落ち葉を持ち帰ってはいけないとされています(同上)。

3. 手水(てみず・ちょうず)で身と心を清める

拝殿に向かう前に、手水舎で手と口を清めます。

神社本庁が紹介している手順は、次のとおりです(神社本庁 公式サイト「参拝方法」)。

1. 右手で柄杓(ひしゃく)を取り、左手を洗う
2. 柄杓を左手に持ちかえ、右手を洗う
3. ふたたび右手に持ちかえ、左の手のひらに水をためて口をすすぐ

口をすすぐときは、柄杓に直接口をつけません。
最後に、もう一度左手を洗い、柄杓を立てて柄に水を流してから戻す作法も広く紹介されています。

手水は、海や川に入って身を清める「禊(みそぎ)」を、簡単にしたものだと言われています。
古事記では、伊邪那岐命が黄泉の国から戻ったあと、水に入って禊をします。
その水の力を、手と口だけでいただくのが手水なんです。

4. お賽銭を入れる

拝殿の前に進んだら、お賽銭を静かに入れます。

お賽銭は、もともとはお米でした。
収穫のお礼として、お米を白い紙に包んだ「おひねり」を神様にお供えしていたのが始まりとされ、お金が広まるにつれて、お米の代わりにお金をお供えするようになりました。
明治神宮の案内でも、賽銭箱にお金を入れるのは比較的新しい習慣だと説明されています(観光庁 多言語解説文データベース「本殿 解説文(御賽銭箱)」明治神宮)。

つまりお賽銭は、願いごとの「料金」ではなく、感謝のしるしです。
金額に決まりはありません。

5円で「ご縁がありますように」、10円は「遠縁(とおえん)」で縁起が悪い、という話もよく聞きます。
これは語呂合わせから生まれた話で、神社の公式な決まりではありません。
諸説あるうちの一つとして、楽しむくらいがちょうどいいと思います。

お賽銭は投げ入れず、そっと入れるのがていねいだとされています。

5. 鈴を鳴らす

鈴がある神社では、お賽銭のあとに鈴を鳴らします。

鈴を鳴らす意味については、「神様に参拝に来たことをお知らせするため」「澄んだ音で場とわが身を清めるため」など、いくつかの説があります。
どれも公式に定まったものではなく、諸説あります。

6. 二拝二拍手一拝でお参りする

いよいよ拝礼です。
神社本庁が基本形として紹介しているのは「再拝(二拝)・二拍手・一拝」です(神社本庁 公式サイト「参拝方法」)。

1. 姿勢を正して、深いおじぎを2回する(腰を90度に折る深さ)
2. 胸の高さで両手を合わせ、右手の指先を少し下にずらして、2回手を打つ
3. 手をそろえて、心をこめてお祈りする
4. 最後に、もう1回深いおじぎをする

手を打つことを「拍手(はくしゅ)」または「柏手(かしわで)」といいます。
神社本庁は、柏の葉のように両手の指をそろえて打ち合わせることから「柏手を打つ」と呼ぶと説明しています。

7. 帰りも一礼

参拝を終えて鳥居を出るときは、ふり返って社殿の方に一礼する作法も広く紹介されています。
「おじゃましました」のごあいさつですね。

拍手はいつから?作法の歴史【史料】

1800年近く前の記録に「手を打つ倭人」

手を打って敬意を表すことは、とても古くから記録に残っています。

3世紀の中国の歴史書『三国志』の「魏志倭人伝」に、こんな一文があります。

見大人所敬、但搏手以當跪拜

読みやすくしてみると⋯⋯「身分の高い人を敬うときは、ただ手を打って、ひざまずいて拝むことの代わりにしている」。

中国ではひざまずいて敬意を表すところを、倭人は手を打って表していた。
拍手は、日本で古くから続く敬意の表し方だったのかもしれません。

「二拝二拍手一拝」は意外と新しい

一方で、今の「二拝二拍手一拝」が全国共通の形になったのは、意外と最近のことです。

明治8年(1875年)に定められた「神社祭式」に「再拝拍手」の記載があり、のちの明治40年(1907年)の「神社祭式行事作法」などを経て、戦後に一般の参拝者にも広まったと言われています。
それより前は、神社や地域ごとに、さまざまな拝み方があったようです。

神社ごとに違う作法

二拝二拍手一拝は「基本形」で、神社によっては独自の作法があります。

  • 出雲大社(島根県):二拝四拍手一拝。例祭(5月14日)では八拍手とされています
  • 宇佐神宮(大分県):二拝四拍手一拝
  • 彌彦神社(新潟県):二拝四拍手一拝
  • 伊勢神宮(三重県):神職のお祭りでは「八度拝(はちどはい)・八開手(やひらで)」という作法があります。一般の参拝者は二拝二拍手一拝で参拝します

なぜ四拍手なのか、その理由については神社の公式な説明が見つからず、諸説あります。
出雲大社の八拍手については、「八」は限りない数を表し、限りなく神様をたたえる意味があると説明されることがあります。

その神社の作法が案内されているときは、それに従うのがいちばんです。

伊勢神宮については、伊勢神宮の記事でくわしく紹介しています。

心の持ち方:作法より大切なこと

願いごとよりも、まず感謝

神社では「お願いごと」をするイメージが強いかもしれません。

けれど、お賽銭がもともと収穫への感謝だったように、参拝の基本は感謝だと考えられています。
「今日も無事に過ごせています。ありがとうございます」
そんなごあいさつから始めると、自然と気持ちが落ち着きます。

もちろん、お願いごとをしてはいけないわけではありません。
感謝を伝えたうえで、自分も努力しますので見守ってください、とお祈りする人も多いです。

名前と住所を心の中で名乗る(諸説あり)

お祈りのときに、心の中で自分の住所と名前を名乗るとよい、という話もよく聞きます。
「どこの誰がお参りに来たのかを神様にお伝えするため」というのがその理由として紹介されています。
神社の公式な作法ではありませんが、このような説も存在します。

清き明き心(きよきあかきこころ)

神道では、昔から「清き明き心」が大切にされてきました。
うそや濁りのない、すみきった明るい心のことです。

手水で手と口を清めるのも、鳥居でおじぎをするのも、この心で神様の前に立つため。
作法の一つ一つは、心を整えるための「スイッチ」のようなものなんです。

よくある迷い

身内に不幸があったときは?

神道では、亡くなった方の忌(き)の期間は五十日とされ、この忌中のあいだは神社への参拝を控えるのが一般的だと言われています。
これは死を「悪いこと」とするのではなく、「気枯れ(けがれ)」、つまり悲しみで心の力が弱っている状態だから、静かに故人をしのぶ期間とする考え方だとする説もあります。

「鳥居をくぐらなければ参拝してもいい」という話もありますが、これも諸説あります。
迷ったときは、お参りしたい神社に問い合わせるのが確実です。

写真は撮っていい?

境内の撮影は、多くの神社で許されています。
ただし、本殿や拝殿の正面など、人がお祈りをしている場所での撮影を控えるよう案内している神社もあります。
たとえば明治神宮では、人々が祈りをささげる御社殿での写真や動画の撮影を控えるよう案内しています(明治神宮 公式サイト)。

お祈りしている人が写りこまないように気をつけるのも、大切なマナーです。

御朱印はスタンプではない

御朱印は、参拝のあかしとしていただくものです。
観光地のスタンプとはちがい、参拝をすませてからいただくのがていねいだとされています。

古いお守りやお札は?

一年ほどを目安に、いただいた神社に納めて新しいものを受ける人が多いです。
多くの神社には、古いお守りやお札を納める「古札納所(こさつおさめしょ)」があります。

古神道的な読み解き

祓い清めて、神様と向き合う

神道のお祭りは、祓い(はらい)から始まります。
けがれを祓い、清らかな状態になってから、神様をお迎えするのです。

参拝の流れも、実は同じ形をしています。
鳥居をくぐって境目を越え、手水で清め、神様の前に立つ。
私たちは参拝のたびに、小さな「お祭り」をしているのかもしれません。

まこも考察

ここからはまこもの考察です。

作法を調べていて、僕がいちばん心に残ったのは、作法の多くが「お家におじゃまするときのマナー」とそっくりだということです。

玄関の前で「おじゃまします」とあいさつする。
手を洗ってから上がる。
お土産を渡して、日ごろのお礼を伝える。
帰るときには「おじゃましました」。

神社の作法は、神様を「遠い存在」ではなく、ご近所の大切な方として敬ってきた、日本人の感覚から生まれたのだと思います。

だから、作法を少しまちがえても、あまり心配しなくて大丈夫です。
初めてよそのお家にうかがった子どもが、少しぎこちなくても、ちゃんとあいさつしようとしていれば、それはきっと伝わりますよね。

ちなみに手水の「柄杓一杯で全部すませる」は、やってみると意外とむずかしいです。
最初に左手へ勢いよくかけると、右手と口の分がもう残っていません。
……そんなときは、もう一度すくわせていただけばいいと思います。

参拝の作法が登場する作品・聖地巡礼のマナー

アニメや映画の舞台になった神社は、「聖地巡礼」でたくさんの人が訪れています。

  • 『らき☆すた』(2007年 アニメ):埼玉県久喜市の鷲宮神社が「鷹宮神社」として登場し、柊かがみ・つかさ姉妹は神社の娘という設定です。放送後、鷲宮神社の初詣の参拝者は大きく増えたと報じられています
  • 『ラブライブ!』(2013年 アニメ):東條希がお手伝いをしている神社のモデルが、東京の神田明神です。神田明神では、コラボ絵馬や御朱印帳、神田祭とのコラボイベントなどが行われてきました
  • 『君の名は。』(2016年 映画):ラストシーンの階段のモデルとして、東京都新宿区の須賀神社の男坂が知られています

聖地巡礼でも、そこが神様のお住まいであることは変わりません。
まずは参拝してから、写真を撮る。
お祈りしている人や、神職さん・巫女さんにカメラを向けない。
そんな小さな心づかいが、作品と神社の両方を大切にすることにつながると思います。

海外の方へ

海外から来た方や、ほかの宗教を信じている方に向けて、英語版の記事も書いています。
キリスト教・イスラム教・ユダヤ教・仏教・ヒンドゥー教とくらべながら、神社の作法の意味を紹介しています。

英語版はこちら:How to Visit a Shinto Shrine in Japan(英語)

まとめ

  • 参拝は、身と心を清めて神様にごあいさつをすることです。
  • 基本の流れは、鳥居で一礼 → 参道は端を歩く → 手水 → お賽銭 → 鈴 → 二拝二拍手一拝です。
  • お賽銭は、もともと収穫への感謝のお米でした。金額に決まりはありません。
  • 拍手は「魏志倭人伝」にも記録がある古い敬意の表し方ですが、二拝二拍手一拝が全国に広まったのは明治以降です。
  • 出雲大社・宇佐神宮・彌彦神社は四拍手など、神社ごとの作法があります。
  • いちばん大切なのは、感謝の気持ちと「清き明き心」です。

作法は、心を整えるための型。
形を覚えたら、あとは気持ちをこめて、神様にごあいさつしてみてください。

関連して、遠く離れた場所から神様を拝む作法については遥拝の記事で、明治神宮については明治神宮の記事で紹介しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 二拝二拍手一拝と二礼二拍手一礼は違うのですか?
A. 同じ作法です。神社本庁は「再拝(礼)・二拍手・一拝(礼)」と書いており、「拝」と「礼」のどちらの言い方もされます。

Q. 手水舎に水がないときはどうすればいいですか?
A. 心の中で身を清めるつもりで、そのまま参拝して大丈夫です。感染症対策などで、柄杓を置いていない神社もあります。

Q. お賽銭はいくら入れればいいですか?
A. 決まりはありません。お賽銭はもともと収穫への感謝のお供えで、金額で願いがかなうかどうかが決まるものではないとされています。

Q. 出雲大社でも二拍手で参拝していいですか?
A. 出雲大社の作法は二拝四拍手一拝です。その神社で案内されている作法に従うのがよいとされています。

Q. ほかの宗教を信じていても参拝できますか?
A. 多くの神社は、信仰する宗教にかかわらず参拝を受け入れています。気になる方は、敬意をもって見学するだけでも大丈夫です。

この記事は、古事記・日本書紀などの原典や、ネット上の資料を参考にまとめ、まこもが考察を加えたものです。考察の部分は「まこも考察」として書き分けています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました