遥拝とは?遠く離れた神様に祈る日本の作法と、遥拝所・遥拝殿・四方拝

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この記事で分かること
遥拝(ようはい)とは、遠く離れた場所から、神様のいらっしゃる方角に向かって拝むことです。

伊勢まで行けない人のための東京大神宮、山の上の奥宮を拝む遥拝殿、元日の四方拝。
「心を向けて祈る」日本の作法を、史料と実例をもとにお話しします。

遥拝を一言でいうと

その場所まで行けなくても、心と体を神様の方角に向けて祈ることです。

距離があっても、思いは届く。
遥拝は、そんな日本人の祈りの考え方を表した言葉なんです。

言葉の意味を見てみよう

  • 遥(よう):はるか、遠い
  • 拝(はい):おがむ

コトバンク(デジタル大辞泉)では、「遠くへだたった所から拝むこと」と説明されています。

遥拝の実例

東京大神宮:伊勢神宮の遥拝殿

東京大神宮は、明治13年(1880年)に、東京で伊勢神宮を遥拝するための遥拝殿として創建されました(東京大神宮 公式サイト、旅行読売)。
江戸時代、伊勢参りは人々の一生の願いでしたが、だれもが行けるわけではありませんでした。
東京にいながら伊勢の神様を拝めるようにと、つくられたのです。

今も10月17日の秋季大祭では、伊勢神宮の神嘗祭にあわせて、伊勢神宮を遥拝しています(東京大神宮 公式サイト)。

くわしくは東京大神宮の記事で紹介しています。

三峯神社:奥宮遥拝殿

埼玉県秩父市の三峯神社の奥宮は、妙法ヶ岳の山頂にあります。
境内には「奥宮遥拝殿」があり、山頂まで登れない人も、ここから奥宮を拝むことができます。

くわしくは三峯神社の記事で紹介しています。

自凝神社:海辺から神体山を拝む

淡路島の南の沼島にある自凝神社では、昔の島の人々が、神社のある山そのものを御神体として、山すその海岸「水の浦」から拝んでいたと伝えられています(兵庫県神社庁)。
山に登らず、海辺から山を仰いで拝む。
これも、遥拝の一つの形だと言えます。

くわしくは自凝神社(沼島)の記事で紹介しています。

四方拝:元日の天皇の遥拝【史料】

元日の早朝、宮中では「四方拝(しほうはい)」が行われます。

コトバンクによると、四方拝は1月1日の早朝に行われる皇室の祭祀で、平安時代には恒例となり、寛平2年(890年)の記録が残っています。
天皇が庭に出て、天地四方や山陵(天皇の御陵)、そして伊勢の皇大神宮・豊受大神宮や四方の神々を拝むものです。
明治以降は、宮中の神嘉殿の南庭で行われています。

一年の始まりに、遠くの神々と、すべての方角に向かって祈る。
四方拝は、遥拝のいちばん大きな形だと言えるかもしれません。

古神道的な読み解き

神様は「そこ」にいらっしゃる

遥拝は、神様が特定の場所(山、神社、聖地)にいらっしゃると考えるからこそ生まれた作法です。
その場所に向かって、心と体を向ける。
神様と人とのあいだにある距離を、祈りで結ぶのです。

神体山と遥拝

山そのものを神様として拝む神体山の信仰では、山に入らず、ふもとから山を拝むことが大切にされてきました。
奈良の大神神社が、三輪山を拝殿から拝むのもその一つです。
神体山の信仰については、神体山と磐座の記事で紹介しています。

まこも考察

ここからはまこもの考察です。

遥拝を調べていて、僕がいちばん心をひかれたのは、「行けない人のため」の祈りの形が、ちゃんと用意されてきたということです。

伊勢まで行けない人のための東京大神宮。
山頂まで登れない人のための遥拝殿。

神様は、遠くまで足を運べる人だけのものではありません。
行けない事情がある人も、心を向けて祈ることができる。
遥拝は、神様への入口を、すべての人に開いておくための知恵なのだと思います。

ちなみに僕は、出不精なので、遥拝という作法の存在に、少しだけ救われた気持ちになっています。……もちろん、行けるときはちゃんとお参りに行きます。

遥拝が登場する作品

公式の情報で確認できた作品がなかったため、ここでは紹介を控えます。

まとめ

  • 遥拝とは、遠く離れた場所から神様のいらっしゃる方角を拝むことです。
  • 東京大神宮は、東京で伊勢神宮を遥拝するための遥拝殿として創建されました。
  • 三峯神社の奥宮遥拝殿や、沼島の人々が海辺から神体山を拝んだ例もあります。
  • 元日の早朝には、天皇が天地四方や伊勢の神宮などを拝む四方拝が行われます。

行けなくても、心を向ければ祈りは届く。
遥拝は、神様と人とのあいだの距離を、祈りで結ぶ日本の作法です。

よくある質問(FAQ)

Q. 遥拝とは何ですか?
A. 遠く離れた場所から、神様のいらっしゃる方角に向かって拝むことです。

Q. 遥拝所とは何ですか?
A. 遠くの神社や聖地を拝むために設けられた場所のことです。山の上の奥宮を拝む遥拝殿などがあります。

この記事は、古事記・日本書紀などの原典や、ネット上の資料を参考にまとめ、まこもが考察を加えたものです。考察の部分は「まこも考察」として書き分けています。

出典・参考文献

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