この記事で分かること
氷上姉子神社(ひかみあねごじんじゃ)は、名古屋市緑区大高町にある熱田神宮の摂社です。
日本武尊の妃・宮簀媛命をお祀りし、地元では「お氷上さん」と呼ばれて親しまれています。
熱田神宮よりも前に草薙神剣がお祀りされていたと伝わるこの神社を、史料と伝承に分けてお話しします。
氷上姉子神社を一言でいうと
宮簀媛命が暮らし、草薙神剣が最初にお祀りされたと伝わる、熱田神宮の「はじまりの地」の神社です。
熱田神宮から車で約30分。
大高の静かな森の中に、千八百年以上の歴史を持つお社が鎮まっています。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 氷上姉子神社(ひかみあねごじんじゃ)。「お氷上さん」とも |
| 所在地 | 愛知県名古屋市緑区大高町火上山1-3 |
| 御祭神 | 宮簀媛命(みやすひめのみこと) |
| 創建 | 仲哀天皇4年(195年)と伝えられる |
| 遷座 | 持統天皇4年(690年)に今の場所へ |
| 社格など | 熱田神宮の摂社。延喜式内社 |
| 境内末社 | 元宮・神明社・玉根社 |
| 主な祭事 | 6月 御田植祭 |
※ 由緒・境内末社・祭事は、2026年10月1日に名古屋市緑区のページと熱田神宮の公式サイトで確認しました。
御祭神【史料】
宮簀媛命
御祭神は、日本武尊の妃・宮簀媛命です。
古事記では「美夜受比売(みやずひめ)」と書かれ、尾張国造の祖とされています。
日本武尊は東征の行き帰りに尾張で宮簀媛命と結ばれ、草薙剣を宮簀媛命のもとに置いたまま伊吹山へ向かい、帰らぬ人となりました。
名古屋市緑区のページでは、宮簀媛命は日本武尊の東征のときにこの地で結婚し、尊の死後に草薙神剣を守り、それが熱田神宮の創祀につながった、と紹介されています。
由緒と歴史の変遷
草薙神剣のはじまりの地【伝承】
熱田神宮の公式サイトによると、日本武尊は神剣を今の名古屋市緑区大高町の火上山(ひかみやま)に留め置いたまま亡くなりました。
妃の宮簀媛命が、その神剣を熱田の地にお祀りしたのが、熱田神宮の始まりです。
名古屋市の観光サイトでも、草薙神剣は熱田神宮にお祀りされる前、この「火上(のちに氷上とあらたまる)の里」にお祀りされていた、と紹介されています。
つまり氷上姉子神社のある大高は、草薙神剣にとっての「最初の家」だったんですね。
仲哀天皇の時代の創建【史料と伝承】
名古屋市緑区のページによると、氷上姉子神社は仲哀天皇4年(195年)の創建です。
熱田神宮の公式サイトでも、仲哀天皇の時代に創祀されたとされています。
そして持統天皇4年(690年)に、今の場所へ移されました。
もとの場所には、今も境内末社の「元宮(もとみや)」がお祀りされています。
延喜式内社
平安時代の『延喜式』の神名帳にも名前が載る、古い神社です(名古屋市緑区)。
熱田神宮の摂社の中でも、特に由緒の深いお社の一つです。
境内の見どころ
本殿
宮簀媛命をお祀りする本殿です。
大高の森に囲まれて、静かに鎮まっています。
元宮
境内末社の一つで、持統天皇4年に今の場所へ移る前の、もとの鎮座地にお祀りされているお社です。
宮簀媛命の館の跡と伝える案内もあります【伝承】(諸説あり)。
神明社・玉根社
元宮とともに、境内末社として今もお祀りされています(名古屋市緑区)。
斎田(さいでん)
神社の北側には、神様にお供えするお米をつくる斎田があります。
6月には、ここで御田植祭が行われます。
神事・例祭の意味
御田植祭(6月)
名古屋市緑区のページによると、6月に神社の北側の斎田で御田植祭が行われます。
早乙女(さおとめ)と呼ばれる女性たちが、昔ながらの装束で苗を植える、美しいお祭りです。
宮簀媛命の暮らした土地で、今も神様のための稲が育てられている。
草薙神剣の物語とは別の、もう一つの大切な祈りの形ですね。
古神道的な視点での読み解き
「姉子」という名前
「姉子(あねご)」は、宮簀媛命を慕って呼んだ名前だと考えられます。
「お姉さん」というような、親しみのこもった呼び方です。
地元の人々が宮簀媛命を、遠い神様ではなく、身近な土地の姫として大切にしてきたことが、名前からも伝わってきます。
なぜ「姉子」と呼ばれるようになったのか、その理由は明らかではありません。
火から氷へ
もとは「火上」と書かれた地名が、のちに「氷上」に改められたと紹介されています。
理由ははっきりしていませんが、火事を避けたいという願いがこめられたのではないか、とも言われます(諸説あり)。
まこも考察
ここからはまこもの考察です。
氷上姉子神社を調べていて、僕がいちばん心をひかれたのは、ここが「草薙神剣が置いていかれた場所」だということです。
日本武尊は、剣をここに置いて伊吹山へ向かい、二度と戻りませんでした。
宮簀媛命は、この場所で、帰らない人を待ちながら剣を守っていたのだと思います。
熱田神宮は、その剣を正式にお祀りした、立派な大きなお宮です。
でも、その始まりには、大高の小さな里で一人の女性が剣を守り続けた時間があった。
熱田神宮にお参りしたら、少し足をのばして、氷上姉子神社にも行ってみたい。
そうすると、草薙神剣の物語を「はじまり」から「今」まで、まるごと感じられる気がします。
ちなみに僕は、大事なものを「ちょっとここに置いておく」と、だいたいそのまま忘れてしまうので、宮簀媛命の守る力は本当にすごいと思います。
伝承・関連する話
【伝承】大高と戦国時代
名古屋市の観光サイトによると、氷上姉子神社の周辺には、桶狭間の戦いに関わる鷲津砦跡・丸根砦跡・大高城跡があり、大河ドラマ『麒麟がくる』の紀行でも紹介されました。
神話の時代と戦国時代、二つの時代の物語が重なる土地なんです。
氷上姉子神社が登場する作品
大河ドラマ『麒麟がくる』(紀行)
名古屋市の観光サイトによると、NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の番組最後の紀行で、周辺の砦跡や大高城跡とともに紹介されました。
ドラマの本編に登場したわけではなく、紀行のコーナーでの紹介です。
参拝の作法・アクセス・御朱印
※ 以下の情報は、2026年10月1日に名古屋市の観光サイトなどで確認したものです。お出かけの前に最新の情報を確認してください。
参拝の作法
一般的な神社と同じく、「二拝二拍手一拝」でお参りします。
本殿だけでなく、元宮にもお参りしてみてくださいね。
アクセス
- JR:大高駅から徒歩約20分(約1.5km)
- 名鉄:河和線・名和駅から徒歩約25分(約2km)
- 車:名鉄本線・鳴海駅から約10分、熱田神宮から約30分
お問い合わせ
- 氷上姉子神社:052-621-5935
まとめ
- 氷上姉子神社は、名古屋市緑区大高町にある熱田神宮の摂社で、宮簀媛命をお祀りしています。
- 草薙神剣は、熱田神宮にお祀りされる前、この火上(氷上)の里にお祀りされていたと伝えられます。
- 仲哀天皇4年(195年)の創建、持統天皇4年(690年)に今の場所へ遷座と伝わり、もとの場所には元宮があります。
- 6月には、北側の斎田で御田植祭が行われます。
帰らない人を待ちながら、剣を守り続けた姫の里。
氷上姉子神社は、熱田神宮の物語のいちばん最初のページに立つ神社です。
よくある質問(FAQ)
Q. 氷上姉子神社と熱田神宮はどんな関係ですか?
A. 氷上姉子神社は熱田神宮の摂社です。草薙神剣は、熱田神宮にお祀りされる前、この地にお祀りされていたと伝えられています。
Q. 御祭神は誰ですか?
A. 日本武尊の妃・宮簀媛命です。
Q. 熱田神宮から近いですか?
A. 車で約30分です。JR大高駅からは徒歩約20分です。
この記事は、古事記・日本書紀などの原典や、ネット上の資料を参考にまとめ、まこもが考察を加えたものです。考察の部分は「まこも考察」として書き分けています。
出典・参考文献
- 『古事記』中巻(景行天皇・倭建命)
- 『日本書紀』巻第七 景行天皇四十年
- 名古屋市緑区「緑区史跡散策路・大高城下コースの紹介」 https://www.city.nagoya.jp/midori/miryoku/1024793/1024794/1024797.html
- 名古屋コンシェルジュ「氷上姉子神社」 https://www.nagoya-info.jp/spot/detail/225/
- 熱田神宮 公式サイト「御祭神」 https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/about/
- 熱田神宮 公式サイト「別宮・摂社・末社」 https://www.atsutajingu.or.jp/jingu/about/yukari.html

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