お稲荷さんとキツネ・初午とは?稲荷神社の不思議をやさしく解説

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この記事で分かること
お稲荷さん(稲荷神社)は、全国に約3万社あるといわれる、とても身近な神社です。

キツネの像があるのはなぜか、朱色の鳥居がたくさん並んでいるのはなぜか、2月の「初午(はつうま)」とはどんな日か。
お稲荷さんの不思議を、伏見稲荷大社の公式の説明と、各地の伝承に分けてお話しします。

お稲荷さんを一言でいうと

稲の神様を中心にお祀りする、全国でいちばん数が多いともいわれる、暮らしと商売の神社です。

伏見稲荷大社の公式サイトによると、稲荷神社は全国に3万社あるといわれ、その総本宮が京都の伏見稲荷大社です。
町の中の小さなお社から、大きな神社まで。
「お稲荷さん」と呼ばれて、老若男女に親しまれています。

お稲荷さんの神様は?

お稲荷さんの中心の神様は、稲の魂の神様・宇迦之御魂神です。
伏見稲荷大社では、宇迦之御魂大神をはじめとする五柱の神様を「稲荷大神」としてお祀りしています。

お稲荷さんとキツネ【伝承】

キツネは神様ではなく「お使い」

伏見稲荷大社の公式サイトの「よくあるご質問」では、キツネについてこう説明されています。

稲荷大神様のお使い(眷族=けんぞく)はキツネとされています。
ただし、野山にいるキツネではなく、眷族様も大神様と同じように、私たちの目には見えません。
そのため、白(透明)のキツネ、「びゃっこさん」といってあがめます。
もちろん、稲荷大神様はキツネではありません。

つまり、稲荷神社のキツネの像は、神様そのものではなく、神様のお使いの姿なんです。

なぜキツネがお使いなの?(諸説あり)

キツネがお稲荷さんのお使いとされるようになった理由には、いろいろな説があります。

  • 田畑を荒らすネズミを食べてくれるから、稲を守る動物とされた
  • 稲穂が実る秋になると、山から里へ下りてくるので、田の神様のお使いと考えられた
  • キツネの毛の色やしっぽの形が、実った稲穂に似ているから

どれも、よく紹介される説ですが、はっきりした理由は明らかではありません。
いつからキツネがお使いとされるようになったのかも、はっきりしていないんです。

キツネがくわえているもの

稲荷神社のキツネの像をよく見ると、口に何かをくわえていることがあります。
稲穂、巻物、鍵、玉などが多く、それぞれに意味があると言われています【伝承】。
お参りのときに、どのキツネが何をくわえているか、見くらべてみるのも楽しいですよ。

朱色の鳥居の不思議

なぜ朱色なの?

伏見稲荷大社の公式サイトによると、朱色は魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣に多く使われてきました。
伏見稲荷大社では、稲荷大神様のお力の「豊穣」を表す色と説明されています。
ただし、朱塗りの神社はお稲荷さんだけではなく、ほかにもたくさんあります。

なぜ鳥居がたくさんあるの?

伏見稲荷大社の公式サイトによると、願いごとが「通る」、あるいは「通った」お礼の意味から、鳥居を感謝のしるしとして奉納することが、江戸時代以降に広がった結果だそうです。
今では約1万基の鳥居が、稲荷山の参道全体に並んでいます。

願いが「通る」から鳥居。
なんとも粋な発想ですよね。

初午と福参り【伝承】

初午の日

伏見稲荷大社の公式サイトによると、稲荷大神様が稲荷山に鎮座されたのは、奈良時代の和銅4年(711年)2月の初午の日です。
それ以来、2月の最初の午(うま)の日を「初午」と呼び、全国の稲荷神社で初午祭が行われています。
暦を見ると分かるように、初午の日は毎年変わります。

福参り

2月の初午の日に稲荷山へお参りすることを「福参り」といいます。
伏見稲荷大社の公式サイトによると、都の巽(たつみ、東南)に鎮まる神様は、人々に福を授ける神様と信じられていたうえに、お稲荷さんの力強い「おかげ」があったことから、福参りが定着していったのだろう、と説明されています。

「稲荷」という名前の由来(諸説あり)

國學院大學の神名データベースによると、伏見稲荷大社は、渡来系の秦氏によって始められたとされる神社です。
中世の書物に『山城国風土記』として引用されている秦氏の伝承には、「稲荷山」の地名が「いねなり(稲が成る)」に由来する、と語られているそうです。
稲荷という名前そのものが、稲の実りを表しているんですね。
ただし、この引用が本当に古い風土記の文章なのかについては、慎重に考える必要があります。

各地のお稲荷さんの伝承【伝承】

王子の狐火(東京都北区)

北区飛鳥山博物館によると、大晦日の夜、王子の装束榎(しょうぞくえのき)のもとに、稲荷神のお使いであるキツネたちが集まり、装束を改めて王子稲荷へお参りする。
人々は、キツネが灯す狐火の数で、その年の豊作・凶作を占った。
そんな伝承があり、初代歌川広重は、これを「名所江戸百景」の「王子装束ゑの木大晦日の狐火」に幻想的に描いています。

北区の観光サイトによると、平成5年(1993年)からは、この狐火の話を再現しようと、地元の人々によって「王子狐の行列」が始められました。
毎年大晦日から元日にかけての深夜、キツネのお面をかぶった裃姿の人々が、装束稲荷から王子稲荷神社まで、お囃子とともに練り歩くそうです。

玉造稲荷神社(大阪市中央区)

玉造稲荷神社の公式サイトによると、江戸時代の「三ヶ津自慢競」では、稲荷神社の部に、江戸の王子稲荷、京都の伏見稲荷と並んで、大坂の玉造稲荷が挙げられていたそうです。
江戸・京都・大坂の三大都市の、代表的なお稲荷さんだったんですね。

古神道的な視点での読み解き

見えないお使い

伏見稲荷大社の説明で印象的なのは、「眷族様も大神様と同じように、私たちの目には見えない」という一文です。
キツネの像は、見えないお使いを、私たちが心に思い描けるようにした姿なのかもしれません。
神様も、そのお使いも、目には見えない。
でも、確かにそこにいて、私たちの願いを届けてくれる。
その感覚は、古神道の心そのものだと思います。

稲と商売

米は、昔から豊かさの象徴でした。
玉造稲荷神社の公式サイトでは、米が貨幣と同じように扱われたことから、稲荷神のご利益が商売繁昌・事業発展・家内安泰・子孫繁栄とされる、と説明されています。
田んぼの神様が、町の商売の神様になっていったのは、とても自然なことだったんですね。

まこも考察

ここからはまこもの考察です。

お稲荷さんの鳥居が「願いが通ったお礼」として奉納されたものだと知って、僕は、あの千本鳥居の見え方が変わりました。

一基一基の鳥居の向こうに、誰かの「通った」願いがある。
商売がうまくいった、家族が元気になった、ずっと願っていたことがかなった。
その「ありがとう」が、一万基も並んで、山を朱色に染めている。
千本鳥居は、日本でいちばんたくさんの「ありがとう」が集まった場所なのかもしれません。

そして、そのありがとうを神様に届けているのが、目に見えない白いキツネたち。
そう思うと、お稲荷さんのキツネの像にも、つい「いつもお疲れさまです」と声をかけたくなります。

ちなみに僕は、黒猫なので、キツネさんたちにはちょっと親近感があります。
同じ「お使い」でも、僕の場合は、おつかいを頼まれると、たいていメモを忘れて帰ってきますが。

お稲荷さんが登場する作品・モデルになった作品

歌川広重「名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火」

北区飛鳥山博物館によると、王子の狐火の伝承を幻想的に描いた、初代歌川広重の代表作です。

『いなり、こんこん、恋いろは。』(漫画・アニメ)

京都の伏見を舞台に、稲荷神社の近くに住む中学生の少女と、稲荷神社の主祭神「うか様(宇迦之御魂神)」との交流を描いた作品です。
くわしくは宇迦之御魂神の記事で紹介しています。

まとめ

  • お稲荷さんは、全国に約3万社あるといわれ、総本宮は京都の伏見稲荷大社です。
  • キツネは神様ではなく、稲荷大神のお使い(眷族)で、目に見えない白いキツネ「びゃっこさん」とされています。
  • キツネがお使いとされる理由には諸説あり、はっきりした理由は明らかではありません。
  • 千本鳥居は、願いが「通った」お礼として鳥居を奉納する習わしが、江戸時代以降に広がったものです。
  • 初午は、稲荷大神が和銅4年(711年)2月の初午の日に稲荷山に鎮座したことにちなむ日で、この日のお参りを福参りといいます。

願いを届ける見えないキツネと、「ありがとう」が並んだ朱色の鳥居。
お稲荷さんは、今日も私たちのすぐそばで、暮らしを見守ってくれているんですよね。

よくある質問(FAQ)

Q. お稲荷さんの神様は、キツネなのですか?
A. いいえ。伏見稲荷大社の公式サイトでも、「稲荷大神様はキツネではありません」と説明されています。キツネは神様のお使い(眷族)です。

Q. 初午とは、いつのことですか?
A. 2月の最初の午の日です。稲荷大神が和銅4年(711年)2月の初午の日に稲荷山に鎮座したことにちなんでいて、日にちは毎年変わります。

Q. 千本鳥居は、なぜあんなにたくさんあるのですか?
A. 願いごとが「通る」、あるいは「通った」お礼として鳥居を奉納する習わしが、江戸時代以降に広がったからです。伏見稲荷大社には約1万基の鳥居があります。

Q. 稲荷神社は、全国にどれくらいありますか?
A. 伏見稲荷大社の公式サイトによると、全国に3万社あるといわれています。

この記事は、古事記・日本書紀などの原典や、ネット上の資料を参考にまとめ、まこもが考察を加えたものです。考察の部分は「まこも考察」として書き分けています。

出典・参考文献

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