この記事で分かること
東京大神宮(とうきょうだいじんぐう)は、東京都千代田区富士見、飯田橋駅の近くにある神社です。
伊勢神宮の神様をお祀りする「東京のお伊勢さま」で、今では広く行われている神前結婚式は、この神社で始まりました。
その歴史と、縁結びの神社として親しまれる理由を、史料と伝承に分けてお話しします。
東京大神宮を一言でいうと
伊勢神宮にお参りに行けない東京の人々のためにつくられ、神前結婚式を生んだ、縁結びの神社です。
ビルが立ち並ぶ飯田橋の街の中に、ふっと静かな杜が現れます。
良縁を願う人たちで、いつもにぎわっている神社なんです。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 東京大神宮(とうきょうだいじんぐう) |
| 所在地 | 東京都千代田区富士見2-4-1 |
| 御祭神 | 天照皇大神・豊受大神・造化の三神(天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神)・倭比賣命 |
| 創建 | 明治13年(1880年)4月17日、伊勢神宮の遥拝殿として |
| 旧称 | 日比谷大神宮 → 飯田橋大神宮 → 東京大神宮 |
| 境内社 | 飯富稲荷神社 |
| 例祭 | 4月17日 |
| 時間 | 開門 6:00〜21:00、授与所 8:00〜19:00、御朱印 9:00〜17:00 |
※ 御祭神・由緒・祭典は、2026年10月1日に東京大神宮の公式サイトで、時間は千代田区観光協会のページで確認しました。
御祭神【史料】
公式サイトによると、東京大神宮の御祭神は次のとおりです。
- 天照皇大神(あまてらすすめおおかみ):伊勢神宮の内宮の主神。天照大御神のことです
- 豊受大神(とようけのおおかみ):伊勢神宮の外宮の主神。食べ物や暮らしを守る神様です(豊受大神の記事)
- 造化の三神:天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神。天地のはじめに現れ、ものを生み出す「むすび」の働きをつかさどる神様です(造化三神の記事)
- 倭比賣命(やまとひめのみこと):天照大御神のお祀りする場所を求めて旅をし、伊勢の神宮を開いた皇女です(倭比売命の記事)
伊勢の内宮と外宮の神様、そして伊勢の神宮を開いた倭比賣命。
東京にいながら、伊勢の神様にまるごとお参りできるようになっているんですね。
由緒と歴史の変遷【史料】
伊勢神宮の遥拝殿として
千代田区観光協会によると、江戸時代、伊勢神宮への参拝は人々にとって一生の願いでした。
けれども、東京から伊勢までは遠く、だれもが行けるわけではありません。
そこで明治13年(1880年)4月17日、東京で伊勢神宮を遥拝(遠くから拝むこと)するための遥拝殿として創建されたのが、東京大神宮の始まりです(公式サイト、旅行読売)。
江戸時代のお伊勢参りについては、お伊勢参りと浪花講の記事で紹介しています。
日比谷から飯田橋へ、三つの名前
公式サイトによると、創建したときは日比谷に鎮座していたので、「日比谷大神宮」と呼ばれていました。
その後、関東大震災のあと、昭和3年(1928年)に今の飯田橋の地に移り、「飯田橋大神宮」と呼ばれるようになります。
そして戦後の昭和21年(1946年)、社名を「東京大神宮」と改めました。
日比谷、飯田橋、東京。
場所と時代に合わせて、名前を三度変えてきた神社なんです。
神前結婚式の始まり
公式サイトによると、今では広く行われている神前結婚式は、東京大神宮が始めたものです。
明治33年(1900年)、皇太子(のちの大正天皇)のご結婚の儀式が、宮中の賢所の神前で行われました。
これを記念して、明治34年(1901年)3月3日、当時の日比谷大神宮で、一般の人々のための神前結婚式が初めて行われたと紹介されています(旅行読売)。
それまでの結婚式は、家で行うのがふつうでした。
神様の前で夫婦の誓いを立てる、という今ではおなじみの形は、ここから全国に広がっていったんですね。
境内の見どころ
本殿
伊勢の神様と造化の三神をお祀りする本殿です。
ビル街の中とは思えない、すがすがしい空気に包まれています。
飯富稲荷神社
公式サイトによると、日比谷大神宮の時代から境内社としてお祀りされてきた稲荷神社です。
衣食住の神様、商売繁昌・家業繁栄の神様として信仰され、芸能とのかかわりも深いお社です。
昭和62年(1987年)に、今の場所に移されました。
3月9日の初午祭では、歌舞伎俳優の絵馬が奉納されることでも知られています。
お守りとおみくじ
千代田区観光協会や旅行読売によると、東京大神宮には縁結びのお守りがたくさんあります。
中でも、「幸福が訪れる」という花言葉を持つ鈴蘭の花をかたどった「縁結び鈴蘭守り」が人気です。
恋みくじや縁結びみくじも、参拝の記念として人気があるそうです。
神事・例祭の意味
公式サイトによると、主な祭典は次のとおりです。
| 祭典 | 日付 | 内容 |
|---|---|---|
| 例祭 | 4月17日 | もっとも重要なお祭り。日比谷大神宮の創建の日を記念 |
| 七夕祈願祭 | 7月7日 | 心願成就と除災招福を祈る。特別な「七夕守」を授与 |
| 秋季大祭 | 10月17日 | 伊勢神宮の神嘗祭にあわせて、伊勢神宮を遥拝する |
| 飯富稲荷神社 初午祭 | 3月9日 | 歌舞伎俳優の絵馬が奉納される |
| 飯富稲荷神社 夏季大祭 | 8月15日 | 五穀豊穣・商売繁昌・家内安全を祈る |
公式の情報ではありませんが、旅行読売によると、6月30日には夏越の大祓が行われ、6月21日から30日まで茅の輪が設けられます。
古神道的な視点での読み解き
縁結びと「むすび」の神様
公式サイトによると、東京大神宮が縁結びの神社として知られているのは、造化の三神がお祀りされているからです。
造化の三神のうち、高御産巣日神と神産巣日神の名前には、「むすひ(産巣日)」という言葉が入っています。
「むすひ」とは、ものを生み出し、結びつける力のことです。
人と人との縁を結ぶ「縁結び」も、この「むすひ」の働きの一つだと考えられています。
遥拝という祈り
遥拝とは、遠く離れた場所から、神様のいらっしゃる方角を拝むことです。
伊勢まで行けなくても、心を向けて祈れば、その思いは届く。
東京大神宮は、そんな日本人の祈りの形を、神社の形にしたものだと言えます。
10月17日の秋季大祭では、今も伊勢神宮の神嘗祭にあわせて、伊勢を遥拝しています。
まこも考察
ここからはまこもの考察です。
東京大神宮を調べていて、僕がいちばん心をひかれたのは、この神社が「行けない人のため」に始まったということです。
伊勢まで行けない人のために、東京に伊勢の神様をお迎えした。
家で結婚式をするのがふつうだった時代に、神様の前で誓う結婚式を始めた。
どちらも、「神様と人とのあいだの距離を近づける」工夫だったのだと思います。
遠くの神様を身近に、特別な儀式を誰にでも。
今、たくさんの人が気軽に縁結びのお参りに訪れているのは、東京大神宮が始まりからずっと、神様への入口を広く開いてきたからなのかもしれません。
ちなみに僕は、おみくじを引くと、つい「大吉が出るまでもう一回」と言いたくなってしまうのですが、神様との距離を縮めすぎないよう、一回でがまんしようと思います。
伝承・関連する話
【伝承】東京の「お伊勢さま」
東京大神宮は「東京のお伊勢さま」と呼ばれて親しまれています(公式サイト)。
伊勢神宮の内宮・外宮の神様をあわせてお祀りしているからこその呼び名です。
噂・都市伝説【噂・俗説】
ここでは、出典を確かめきれない噂話を紹介します。
【噂・俗説】おみくじが「当たりすぎる」?
東京大神宮のおみくじは「当たりすぎる」と話題になっている、と旅行情報サイト(るるぶ&more)で紹介されています。
もちろん、おみくじは神様からのメッセージとして受け取るもので、当たる・当たらないを確かめられるものではありません。
【噂・俗説】東京でいちばんの縁結びスポット?
東京大神宮は、「都内最強の恋愛パワースポット」などと紹介されることがあります。
公式に言われていることではありませんが、造化の三神がお祀りされていることや、神前結婚式発祥の神社であることが、そうした評判を生んだのだと考えられます。
東京大神宮が登場する作品
夏目漱石『行人』
旅行読売によると、夏目漱石の小説『行人(こうじん)』に、この神社(当時の日比谷大神宮)での結婚式が登場します。
明治の終わりから大正のはじめにかけて、神前結婚式が新しい結婚の形として知られるようになっていたことがうかがえます。
参拝の作法・アクセス・御朱印
※ 以下の情報は、2026年10月1日に東京大神宮の公式サイトと千代田区観光協会のページで確認したものです。お出かけの前に最新の情報を確認してください。
参拝の作法
一般的な神社と同じく、「二拝二拍手一拝」でお参りします。
アクセス
- JR・東京メトロ・都営地下鉄:飯田橋駅から徒歩約5分(公式サイトでは「各線駅より徒歩約5分」)
時間(千代田区観光協会)
- 開門:6:00〜21:00
- お守りの授与:8:00〜19:00
- 御朱印の受付:9:00〜17:00
東京大神宮にまつわる話は、神前結婚式の歴史の記事、遥拝の記事、伊勢神宮の記事、元伊勢の記事、おみくじの記事でも紹介しています。
まとめ
- 東京大神宮は、明治13年(1880年)に伊勢神宮の遥拝殿として創建された「東京のお伊勢さま」です。
- 天照皇大神・豊受大神・造化の三神・倭比賣命をお祀りしています。
- 日比谷大神宮 → 飯田橋大神宮 → 東京大神宮と、名前を三度変えてきました。
- 明治34年(1901年)、日本で初めて一般向けの神前結婚式を行いました。
- 造化の三神の「むすひ」の力から、縁結びの神社として親しまれています。
遠くの神様を身近に、特別な儀式を誰にでも。
東京大神宮は、神様と人との距離を近づけ続けてきた神社です。
よくある質問(FAQ)
Q. 東京大神宮はなぜ縁結びの神社なのですか?
A. 公式サイトによると、ものを生み出し結びつける「むすび」の働きをつかさどる造化の三神がお祀りされているからです。
Q. 神前結婚式は東京大神宮が始まりなのですか?
A. 公式サイトによると、今広く行われている神前結婚式は東京大神宮の創始によるものです。明治34年に、当時の日比谷大神宮で行われました。
Q. 伊勢神宮とはどんな関係ですか?
A. 伊勢神宮の遥拝殿として創建され、伊勢の内宮・外宮の神様をお祀りしています。
この記事は、古事記・日本書紀などの原典や、ネット上の資料を参考にまとめ、まこもが考察を加えたものです。考察の部分は「まこも考察」として書き分けています。
出典・参考文献
- 東京大神宮 公式サイト https://www.tokyodaijingu.or.jp/
- 東京大神宮 公式サイト「東京大神宮の紹介」 https://www.tokyodaijingu.or.jp/syoukai/index.html
- 東京大神宮 公式サイト「毎月の祭典行事」 https://www.tokyodaijingu.or.jp/saiten/index.html
- 東京大神宮 公式サイト「交通案内」 https://www.tokyodaijingu.or.jp/koutsuu/index.html
- 千代田区観光協会「東京大神宮」 https://visit-chiyoda.tokyo/app/spot/detail/152
- 旅行読売「東京大神宮」 https://tabi-mag.jp/tk0227
- るるぶ&more(東京大神宮のおみくじ) https://rurubu.jp/andmore/article/4526

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